ベラルーシのルカシェンコとプーチン

  • 2020年11月2日
  • 2021年10月19日
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     べラルーシのルカシェンコ大統領の挙動が注目される。長年、独裁者だったルカシェンコ氏の挙動はどうなるか、関心が集まっているが、どうも決着がつかないようだ。

先日、モスクワでプーチン氏との会談が終えたばかりだが、プーチン氏はうかぬ顔をしていたのが印象的だ。領土拡張という野望は持っているが、あのチェルノブイルで汚染され、GDPもさほど高くないベラルーシを今、昔通りに併合したら、どれだけのメリットがあるか、心の中で計算中だろう。

それにしても、あの原発事故以来、ロシアはどれだけ、ベラルーシに支援金を出しているか、計り知れない。なんと言ってもソヴェート時代には15の共和国のうちの一つであり、ロシアの大型原子炉を引き受けていた共和国の一つであり、同国内のチェルノブイリで大惨事に巻き込まれたのである。ベラルーシはポーランドにも近く、またバルト三国にもそう遠くないところに位置している。ベラルルーシ人はロシア人との混血がほとんどで、要はロシア人そのものと言っても過言ではない。ベラルーシ語の文字は若干、ラテン文字が入るがロシア語とほとんど変わらない。逆にベラルーシ人はポーランド語などは理解できるし、バルチック三国の言葉も解する。このようにロシアと密接な国であればこそ、ロシアにとっては信頼できる国でコントロールしやすいところから、原子炉開発をあえて行ったのであろう。国民の知的レベルもロシア共和国と劣らず、でロシアにとっては便利であったようだ。しかしあのチェルノブイリの大惨事によって、ロシアにとっては見舞金、賠償金を絶えず与えなければならない国になってある意味では辟易としていたに違いない。ベラルーシ人もロシアに対して、反感と賠償金を与える国としてへの、依頼心が綯交ぜになった複雑な気持ちを持っただろう。

このような微妙な関係性をないまぜにしながら、ベラルーシ人のスベトラーナ・アレクシェーヴィッチ氏の手になる「チェルノブイリの祈り」が生まれ、ノーベル賞を得た。

彼女は多くの知識人同様、現政権に対しては批判的であるが、政権転覆までは考えていないであろう。反政権側のチハノフスカヤ氏は現在、リトワニア?に逃亡中とか聞くが、ベラルーシ帰国は禁ぜられているようだ。一方のルカシェンコ氏は守旧派であり、長期政権を守ってきたが、最近の大統領選挙で不正があったともっぱら噂が立てられ、人心も離れていったようである。彼の頭の中にはソヴェート時代のマルクス・レーニン主義と、長年の独裁主義が無いまぜにされ、国民にとっては全く鮮度がうせた大統領であったわけだ。

しかし、ある筋から言わせると彼はウクライナの選挙で選ばれた大統領のヤヌーコヴィッチ氏よりは根性が座っているとも評されている。

彼の脳内では今己の保身のためのありとあらゆる戦略が渦巻いているだろう。

先日のプーチン氏との会談では、「私は諸外国とは全方位外交をするつもりだ。」と言っていたが、傍のプーチン氏は苦い顔をしていた

ようである。ロシアにとって、全方位とはどういうことか。プーチン氏が最も嫌がっている想定し得るロシアの周囲に張り巡らされる

NATOの軍事基地を意味する。この結末は一重にプーチン氏のにかかってきているだろう。今後、この動きを凝視してみたい。